川柳の愉しみ方(式目集2) 「うまいねどぉ〜も川柳道場」では、「お題」のほかに、古来伝わるさまざまな「しばり」をかけて、 より立体的に川柳を愉しんでいただいております。 解説の中の(※)記号をクリックしていただくと、用語等の説明をご覧頂けます。 川柳には、ごく簡単にいえば、俳句における「季語」や「切れ字使い」といった式目(※1)としての制限はありません。つまり、基本的に『五・七・五』に沿っていれば、自由に句作りをして構わないという事です。しかし、当番組では、雑俳(※2)の式目に従って、その言葉遊びをより面白くするために一般の「兼題(※3)」だけでなく、様々なしばり(※4)を出します。川柳のしばりにも色々種目がありますが、当番組で実際に行われたものを中心にご紹介します。 |
川柳の主なしばり
<式目集1>笠附(カサヅケ)/ 伊勢笠附(イセカサヅケ)/ 沓附(クツヅケまたはクッツケ)/ 据字附(スエジヅケ)/ 前句附(マエクヅケ)/ <式目集2>折句附(オリクヅケ)/ 気結折句(キムスビオリク) 同字折句(ドウジオリク)/ 読込川柳 / 立入川柳/ 割句川柳 ●折句附(オリクヅケ) 五・七・五それぞれの頭1文字目を指定し、それに従って句を作ります。 人名や地名、季節の風物を折り込めるので、これも人気があります。 折句附の場合、お題は『かな3文字の単語』で出されます。 ※「ひつじ」「つばな」「さくら」「おせち」等 単に「折句附」でお題が出た場合は、たとえばお題が「ひつじ」や「さくら」で あっても羊や未、桜や花見に関する句を詠む必要は特にありません。 また、苦心して折り込んでも、それが直接評価につながるとは限りません。 ※詳しくは後述しますが、お題の単語にちなんだ内容を詠ませる時は、 「気結折句」といい、そうでない「折句附」とは区別します。 しばり:「折句附」 題:「ひつじ」の場合 |
[ | 上 | 五 | ] | [ | 中 | 七 | ] | [ | 下 | 五 | ] | ||||||||
ひ | □ | □ | □ | □ | つ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | じ | □ | □ | □ | □ |
・折句附における「加減」 「折句附」は、次の方法を用いて難しさの加減をします。 出題を受けるときは、かならずそこに注意してください。 (1)【天地随意/テンチズイイ】(天地自由/テンチジユウとも言う) お題の「3文字」を逆順にしても構わない、ということです。 お題が「折句附『ひつじ』天地随意」と発表された場合 「ひ・つ・じ」または「じ・つ・ひ」で作った句が有効となります。 「つ」は動かしてはいけません。 |
[ | 上 | 五 | ] | [ | 中 | 七 | ] | [ | 下 | 五 | ] | ||||||||||
○ | ひ | □ | □ | □ | □ | つ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | じ | □ | □ | □ | □ | ||||
○ | じ | □ | □ | □ | □ | つ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | ひ | □ | □ | □ | □ | ||||
× | じ | □ | □ | □ | □ | ひ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | つ | □ | □ | □ | □ | ||||
× | つ | □ | □ | □ | □ | ひ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | じ | □ | □ | □ | □ |
(2)【清濁随意/セイダクズイイ】(※清濁自由とも) 出題された三文字に含まれる清音、濁音、半濁音の入れ換えが自由です。 お題が「折句附『ひつじ』清濁随意」と発表された場合 「ひつじ」の他に「ぴつじ」「ひづし」「ぴづじ」・・・と 清音・濁音・半濁音を変えても構いません。 (3)【天地清濁随意/テンチセイダクズイイ】(※天地清濁自由とも) 出題された三文字が天地入れ換え可能で、かつ、 清音、濁音、半濁音の入れ換えが自由というものです。 中七の頭の文字を動かすことはできませんが、 濁音・半濁音の附け外しは自由です。 |
●気結折句(キムスビオリク) 気結折句は、折句附の式目(※1)に加え、 「3文字」にちなんだ内容で川柳をつくります。 ※天地随意、清濁随意、天地清濁随意などについては折句附同様です。 特に指定がないばあいは、どれも随意にはなりません。 この3文字は、出題者が指定する場合もあれば、 投句者に自分で撰ばせることもあります。 この場合、たとえば「夏の物事一切(三音)」という形で出題されます。 題『夏の物事一切(三音)』の例 「うちわ」「はなび」「すいか」など、夏の物事に関する三音(仮名三文字)の言葉を選び、 上五・中七・下五の各頭に置いて作ります。 【例句】 ユカタ 夕涼みからんで歩く旅の宿 (古今亭志ん橋/雑俳「つ花連」) |
ゆ | う | す | ず | み | か | ら | ん | で | あ | る | く | た | び | の | や | ど |
※「ユカタ」の文字があてられ、かつ「浴衣」の情景が表れています。 ドヨウ 胴体を横一文字うなぎ裂き (橘右之吉/雑俳「つ花連」) |
ど | う | た | い | を | よ | こ | い | ち | も | ん | じ | う | な | ぎ | さ | き |
●同字折句(ドウジオリク) 上五・中七・下五の各頭に、任意に選んだ「同じ文字」を入れるもので、 これも折句の一種とされます。 【例句】 ケ けだるさを化粧で隠す今朝の雪 (歌織/新造連) |
●割句川柳 割句のお題は、たとえば『けだもの(動物の名前)』などの形で出されます。 投句者はお題に沿って言葉を選び、これを任意の位置で2つに分けます。 そして、分けた文字を上五の[頭]と下五の[末尾]に入れて川柳を作ります。 例:『けだもの(動物の名前)』 「クマ」「キツネ」「カワウソ」「ゾウ」などさまざまなけだものの名前から、 「カワウソ」を選んだとします。 区切り方は次の中から選べます。 ただし「カワウ+ウソ」のように、割り振った字がダブるものは不可です。
●洒落附(シャレヅケ)●冠沓(カンクツ)●気結冠沓(キムスビカンクツ) ●地口附(ジグチヅケ)●地口附『いろはがるた』●地口附『小倉百人一首』 ●院山寺号(インサンジゴウ) 【目次】 ■式目の表紙へ ■川柳の愉しみ方(式目集1) ■川柳の愉しみ方(式目集2) ■雑俳の愉しみ方(式目集3) ■自由連句のたのしみかた ■表紙へ戻る 【川柳の愉しみ方】 監修:柳家小ゑん(半駄小手咲) 制作:有線ブロードネットワークス「うまいねどぉ〜も川柳道場」 2004.6.26 管理:(株)NASA k@owarai.to 担当:川崎隆章 |